カオハガン島では、6月というのは、大きな変わり目の季節のようだ。
前回も書いたが、4月、5月の二ヶ月が、ほとんど雨の降らない季節、乾季である。風も少なくて、暑さを感じる季節だ。そして、6月に入ると雨が降り始め、風が吹き始める。生き生きとした季節になる。
そして、6月も半ばくらいになると、花が咲き始める。特に、母屋の周囲に見えるブーゲンビリアの花はほんとうに見事なものだ。何本ものブーゲンビリアの蔦性の枝が、大きな木に絡みついて成長し、そこにみっしりと花を咲かせ、10数メートルの小山のような、濃いピンク、真っ白、薄いベ-ジュ色などの花の塊ができるのだ。これは私も長い生涯のうちでも見たことのない、夢のような美しさなのだ。圧倒され、惚れ惚れとしてしまう。
島の小学校も、4、5月が夏休み、そして今年は、6月の9日から新学期が始まった。生き生きとした子供たちの声が、毎日聞こえてくるようになった。
すべてが新しくなる季節、という感じなのだ。
そこに今年は、選挙が加わった。6月9日に、大統領と、市の選挙が行われたのだ。それまでの一ヶ月以上、町も島も、選挙のポスターがベタベタと貼られ、そして、選挙の応援とかで、島の村長や村会議員たちが狩り出され、島では、何ひとつ大事なことが進まないような状況が続いていた。島民たちの間でも、いつもの一体感が薄れて、何かギスギスしたものを感じる一ヶ月以上だったのだ。
それが少しずつまた元に戻ってきた。
カオハガン島はマクタン島のラプラプ市の行政管轄下にある。ラプラプ市はもう長いこと、ラダサ一家が市長に選ばれ行政を取り仕切ってきている。今回は、パッツ・ラダサ夫人の三期目に当たる選挙だったのだが、市長、副市長をはじめ、市会議員も、ラダサのチーム「デレチョ Dereto (真っ直ぐ)」グループの全員が当選した。
ラダサ市長は、カオハガン島には特別な興味を持っていてくださり、しっかりとした支援をしてくださるのでほんとうに助かっている。私たちが、島民たちのために良かれと思ってはじめる企画には、しっかりとサポートをしてくださるのだ。いつもほんとうにありがたいと思っている。これからもまた三年間、しっかりとしたサポートをしていただけると思うと、とてもうれしい。
大統領選は、今回は、大きな変化があった。南のミンダナオのダヴァオ市の市長として、辣腕を振るってきたドゥテルテ氏が大統領に選ばれたのだ。アジアのトランプと言われているように、自分のやりたいことをしっかりと実行していく男で、まだ、7月1日の正式就任の前なのだが、公約をしていた、フィリピンから麻薬を撤廃する動きを実行し始めている。先日セブ市で、6人の麻薬取り扱い業者が射殺されている。これからどう動いていくのかが、いろいろな意味でたいへん興味深い。
6月の24日は「サン・ホアン」の日。海の聖人の日らしく、この日に海に漬かっていると、身も心も芯から清められるらしい。この日は、朝から、ほとんどの家族が、背の立つくらいの深さの海に船を出す。昼飯や、お酒を持っていって、家族みんなで一日中海に漬かって過ごす日なのだ。ほんとうに一日中海に入っていて、いろんな船の間を歩き回り、飯を食ったり酒を飲んだりする。いくつかの船にはバンドが入ったりしていて、海の中で踊ったりしてもう楽しいのだ。
この日を目掛けて、日本からもたくさんのお客様がやってくる。
そして、6月の30日からは、ユル・グループの「おむつなし&ゆる体操」のツアーが入っている。おむつなしで子育てをしているグループのツアーなのだ。カオハガンでは最近までは、ほとんどすべての家庭がおむつなしで子どもたちを育てていた。両者で学びあうツアーらしい。
そして、7月に入ると、夏休みも始まって、たくさんの学生さんたちが島に来てくださる。楽しい季節になる。
最近では、「スタディ・ツアー」といって、カオハガンの自然からたくさんの恵みをいただいて、それに感謝をし、分かち合って暮らす「カオハガンの文化」から学ぶツアーがとても好評で、たくさんの学生さんが来てくれる。一週間、ホームスティをしたりして、島民の暮らしにどっぷりと漬かって、学ぶツアーだ。ほんとうにいろんなことを学んでくれて、うれしい。
そして、また、それを受け入れた島民たちも、自分たちの暮らしが貧しくはないんだと、誇りをもってくれるのだ。
皆が、しあわせを前面に出して、とても生き生きとした季節になる。
皆様も、ぜひ、カオハガンの自然に密着した、ゆったりとした「何もなくて豊かな」文化を楽しみに、カオハガンにいらっしゃってください。
お待ちしていまーす。
2016年6月17日
崎山 克彦
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