カオハガン島の魅力

目次

大きな自然に包まれた島

カオハガン島の海岸、周囲の海の水は、澄み切っています。
太陽が燦燦と降り注ぎ、空気も澄み切っています。雨の水も清らかです。海を渡ってくる風は爽やかで、疲れをそそぎ落としてくれます。朝日、夕日、空いっぱいに輝くような星、天の川、南十字星、夜空を彩る月の光。
そんなカオハガンの自然に包まれて、混じりけのない砂色の砂浜に30分もじっと座っていると、人間は大きな自然の一部なんだと、沸々と感じてきます。こんなバランスのとれた自然を創ってくれた大いなる存在を感じます。
カオハガンを包み込んでいる珊瑚礁は、自然の防波堤のような役目を果たしていて、高い波が入ってこないのです。津波、高波の心配はありません。そして、カオハガンのある熱帯珊瑚礁の海は、地球上でもっとも生物の種類の多い海域なのです。魚や、貝などがたくさん暮らしています。
地上には、ココ椰子などの大きな木がたくさん自生しています。世界でいちばん薬効の高い植物のひとつといわれる「ニーム」の木もたくさん生えています。ブーゲンビリア、ハイビスカス、プルメリアなどの、南国の花がいっぱいです。

世界一生物の種類が多い海域、珊瑚礁


「良い音楽に心を奪われ、または美しい絵画に感動することが必要なように、珊瑚礁の海に入ってみなければ、その人の人生はその分 だけ貧しくなる」と、ある作家が語っています。

珊瑚礁とは、「造礁珊瑚」という動物が主役になって、貝類や有孔虫などと一緒に、海の中に、長い時間をかけて石灰質の硬い岩の広がりをつくった場所です。
「造礁珊瑚」は、ポリプと呼ばれる動物で、体内に、たくさんの植物バクテリアが共生しています。大きさは数ミリ。石灰質の小さな蛸壺のような核を作ります。それが増え、くっつきあって、木の枝、テーブル、大きな塊のような、いろいろなかたちの複雑な立体的な構造物をつくり、たくさんの隙間をつくります。そして、そこにたくさんの種類の生きものたちが住んでいます。
珊瑚礁は、世界の海洋面積の、たった0・3%しかありませんが、世界の海水魚の25%がその珊瑚礁に依存して生きているのです。
珊瑚礁は、陸上生物の種類の多い熱帯雨林と並んで、海洋生物では、世界でいちばん「多様化の高い生態系」なのです。中でも、フィリピン、インドネシア、ソロモン群島を結んだ三角形の中にある熱帯の珊瑚礁は、いちばん「生物の多様化の高い」地域だそうです。また、フィリピンは世界でも最も珊瑚の種類の多い地域で、その種類は750種以上といわれています。
私たちの暮らしている地球全体の生態系は、非常に多くの種類の生物たちが、相互に複雑な関係を結んで出来上がっています。私たちが安心して生活できるのも、住んでいる生態系が安定しているからなのです。その現状を保つことがとても大切で、「生物の多様化」を大切にしないと、私たちは生きていけません。

自然のままの水族館「珊瑚礁保護区」を覗いてみましょう

a-3カオハガン島は、まさにその豊穣の海の真っ只中に在ります。
私たちは、その生態系を保護するために、カオハガン島の南側、36万平米、カオハガン島の約7倍の広い海域を囲って、「カオハガン島熱帯珊瑚礁保護区」を創設しました。
ラプラプ市の海洋保護局、サンカルロス大学の海洋生物学部との三者で、NGOを創設し、2008年より、海域の観察、保護を始めています。
海域の約三分の一の浅い海は、島民たちが毎日歩き回り、魚や貝を採っていたところです。悪気はありませんが、珊瑚を壊していた海域なのです。そんなことで、この保護区の開設には、漁場を失うと思った島民たちはあまり賛成ではなかったのです。しかし今では、すっかりと珊瑚が回復し、保護区の中で育った魚たちが保護区の外にあふれ出るようになり、漁獲が増えて、島民たちも喜んでいます。良かったと思っています。

今、保護区の中は、たくさんの珊瑚が成長し、魚や貝がその周りに群れています。ほんとうに、自然の中の水族館、竜宮城のようですよ。
ぜひ、覗いていただき、生物の多様化の大切さを感じていただき、そして、癒されていただきたいと思います。
「カオハガン島熱帯珊瑚礁保護区」では、餌付けや養殖は一切していないので、ありのままの珊瑚礁を覗くことができます。

ご滞在中に珊瑚礁保護区でのシュノーケリングにご案内することができます。
是非全身で大自然を感じてください。

自然と共に生きる暮らし

カオハガンの島民たちは、そんなカオハガンの自然から、たくさんの恵みを直接いただいて暮らしてきました。そして、そのいただいた恵みに感謝をし、その恵みを、皆で分け合って暮らしているのです。
島民たちは毎日潮の引いた海にバケツをもって出て、その日に食べる分の、小魚や貝を採って暮らしています。
カオハガンの子どもたちは小さなときから、もっと小さな弟や妹たちの世話をします。親の掃除や料理を手伝ったり、少し大きくなると、船を操縦したり、修理したり、作ったりもしてしまいます。家も、自分で建ててしまいます。
簡単な病気も、草木を煎じたりして治します。
15歳くらいになると、自分が一生を生きてゆくのに必要な暮らしの技術を、すべて身につけてしまうのです。それは「自然からの恵みをいただいて、暮らしていく術」と言い換えることもできます。
そして、その日その日をあせらずに、ゆっくりゆっくりと暮らしていきます。明日のことなどは考えずに、一生を幸せに終えるのです。

崎山が島に来た約30年前は、島では現金がほとんど使われていませんでした。しかし、いろいろと情報が入ってくるようになり、島民たちのモノに対する欲望も少しずつ膨らんできて、ほんのわずかですが現金が必要になってきたようです。そのために、今までの自然と共にある暮らしを変えてしまわないような、島民たちに無理のかからない、良い現金収入の方法を考えようと、崎山たちは宿泊の施設や、キルトつくりをはじめ、そこで島民たちが働き始めました。
数年前に調査をしたら、島民一家族(7、8人)の一ヶ月の平均の現金収入が、日本円で9千円くらいになっていました。崎山が島にきた当時と比べるととても増えていたのですが、国連などの設けている基準によると、この数字は、世界の最貧国の半分以下の収入なのだそうです。
現金の収入から見れば、世界でもっとも貧しい国よりさらに貧しい、カオハガンの人たちが、どうして、みんな幸せそうに暮らしているのか。
その答えが、きっと、この「自然と共にある暮らし」なのでしょう。

異文化との交流を学べる島

世界の各地には、その場所毎に、長い時間の経過と共に培われてきた、独特の「文化」があるのです。
この「自然と共にある暮らし」は、カオハガン島の「文化」なのだということができます。
そして、この「自然と共にある暮らし」は、昔は、世界中にばらばらに暮らしていた人たちすべてが持っていた、「暮らしの文化」だったのだと思います。そして、カオハガン島では、ほんとうに偶然に、今でも島民たちはそんな暮らしをしているのです。
近代になって、科学技術に後押しされた「商品経済」が、世界の発展をリードし、そうした社会での生き方を、何かモデルとなる唯一の文化のように、先進国が世界中に推し進めてきたのではないでしょうか。
私たちは、今、そんな「経済成長最優先」の社会、文化に取り囲まれて暮らしているのです。そして最近では、皆がその行き過ぎを感じて、新しい生き方を模索しているのではないでしょうか。

崎山は、英文での出版を通して「異文化の交流」を仕事として、約四半世紀を過ごしてまいりました。そして、その後で、カオハガンに出会ったのです。
そこで暮らしているうちに、この「自然と共に生きる」カオハガンの「文化」をしっかりと感じ、それを維持していくことの大切さを、強く感じ始めたといいます。
今カオハガン島には、そんなお互いの異なった文化を尊重し、それを学び合う雰囲気が出来上がっていると思います。
そんなカオハガン島で、「異文化の交流」をしながら、いろいろと学んでください。

自然の素材をつかって創り、学ぶ

昼間カオハガン島を歩くと、島中の家々で「キルト」を縫っています。島民の5人に一人くらいが「キルト」をつくっているのです。その自由なデザインの、すべてが手仕事の「カオハガン・キルト」が、今、世界中で評判になっています。
アメリカでも、「ナショナル・キルト・ミュージアム」をはじめ、すでに数箇所で展示会をしましたが、たくさんの方が、「カオハガンのキルトからは、愛が伝わってくる」と絶賛してくれるのです。カオハガンの人たちは、日常島から出ることはほとんどありません。島の自然に毎日接し、その自然を知り尽くし、愛しているのです。そんな自然を自由に描いたユニークな「キルト」から、自然と愛が伝わっていくのでしょう。

20メートル以上もあるココ椰子の木にするすると登り、実を採ってきて中のココナツを削り取り、焚き火の火で煮詰めて「ココナッツ・オイル」をつくります。
太い竹を二つに割って、そこに海水を入れて約一週間太陽にあてておくと、乾いて、塩ができます。雨が降ってきそうになると、すぐにシートをかぶせます。竹の風味のついた独特のおいしいお塩です。
椰子の大きな葉を切り取ってきて、葉の枝葉の芯をそぎだして、束ねて箒をつくり、使っています。長さが60センチくらいの短い箒で、腰をかがめながら、そこらじゅうを掃いています。
それから、マホガニーやトゥガスという木を彫って、お皿、お椀、スプーンなどを創っています。独特な魚のかたちをしたお皿など、心がワクワクしてきます。
そのほか、毎日、潮の引いた海に出て小魚や貝を採ったりしています。
このように、自然の中に、「使用価値」を見つけ出して、自分で、自由に何かを創り出すのが、島民たちの「労働」です。
そのような、自然の素材から島民たちが自分の手で創り出す、楽しい「労働」を、体験できるのも、カオハガン島の魅力です。

島には子どもたちがいっぱいです。昼間は、そこら中で遊びまわっています。よく見ると、これも、ほとんどが自然素材を使って遊んでいます。一緒に遊んでみてください。

カオハガンで創られているもの
ロムロムの敷物

カオハガン、そして近所の島々に生えている、パンダナスという植物の葉っぱでつくった、いろいろな日用品です。
パンダナスは高さが4~5メートルにもなる、枝がくねくねと曲がった植物で、その細長い葉っぱは長さ1メートルほどもあり、縁がギザギザになっています。幅は3~4センチくらい。その葉を1センチ弱の同じ幅に裂いて、干し、その繊維状のものを手で編むのです。その繊維状のものが「ロムロム」と呼ばれています。
昔から島民たちは、大きさ約 2 x 1.5メートルくらいのござのようなものをロムロムで創り、それを布団の代わりに板の間に敷いてその上で寝ています。
その繊維状のものを斜めに織り込んでいくのですが、途中からその繊維を継ぎ足したりして、けっこう複雑です。そしてそれを編む人のスピードが、またすばらしい速さなのです。表から見ると継ぎ目がまったく見えず、そしてとても丈夫です。
現在ではその技術を活かして、ランチョン・マット、コースター、バッグなどを作り、カオハガンハウスで販売しています。すばらしい、ローカルな美しさです。

ココ椰子の箒

ココ椰子の大きな葉っぱの、枝葉のようになった部分の、芯の部分を取り出します。一本の葉っぱには、100本くらいの枝葉がついていますので、その芯も100本以上取れます。その芯は長さが60~70センチくらい、太さが3ミリくらいの、かなり硬い、そしてよく「しなる」ものです。先端が少し細くなっています。
それを、直径が3センチくらいになるように、しっかりと束ねて、太い方の端を紐できつく結びます。
島民たちはそれで地面を掃くのですが、短いので、腰を曲げたスタイルになります。疲れるだろうと思うのですが、島民はまったく気にしていないようで、片方の手を腰に回した独特のスタイルで地面を掃いています。
たくさんの方が買って帰られましたが、土間や玄関などを掃除するのにはとても適しているそうです。
空港の通関でもまったく咎められませんので、どうぞ、お持ち帰りください。きっと、お掃除が楽しくなりますよ。

ニームのお茶

インドに4、000年以上の歴史を持つ、アーユルベーダという民間療法がありますが、その薬としてたくさん使われている植物のひとつが、ニーム(インドせんだん)です。この植物に含まれている成分が、たくさんの、特に、消化器系、循環器系、呼吸器系、泌尿器系の病を治してしまうらしいのです。
幸いなことに、カオハガンに自生している樹木の半分以上がニームの木で、島民たちは昔から、葉っぱや、茎を噛んで、歯磨きをしたり、煎じて、いろいろな病気を治したりしてきました。
日本にある「ニーム協会」にも薦められて、今、カオハガンではニームの葉のお茶をつくっています。
崎山自身、15年以上毎食後この「ニーム茶」を飲んでいますが、大きな病気を一切したことがありません。最初に飲むと、苦い感じがして抵抗を感じる人もいるようですが、少し飲み続けると、爽やかで、おいしくて、止められなくなります。そして、ほんとうに健康に良いのです。

海水から採った「お塩」

カオハガン島は、周囲を、清らかな、透き通った海水に囲まれています。
船で一時間ほど離れたボホール島には、太い孟宗竹がたくさん生えています。それを切ってきて、二つに裂いて日向に並べ、そこに、海水を汲んで、約一週間、日に乾かすと、まさに海水から直接採りだしたお塩ができるのです。ちょっと、竹の味がする気がして、とてもおいしいお塩です。

もうひと種類、ゲストに教えてもらった方法でカオハガン島のお塩を作り始めました。
海底湧水という、海底から沸いてくるミネラルたっぷりの海水を、採ってすぐに火にかけます。
天日干ししたお塩とは違う、真っ白で細かいお塩ができあがります。
このお塩は、天日干しのお塩を作っている夫婦の息子夫婦が作ってくれています。

ココナッツ・オイル

ココナッツの実を、ココ椰子の木に登って直接採ってきて、その実を二つに割り、中のココナッツを専用の道具を使って削りだします。削り取った白いココナッツを絞って、ココナッツ・ミルクを抽出します。次に、乾かした実の殻を炊いて火をおこし、ココナッツ・ミルクをお鍋に入れ、火にかけて、ココナッツ・オイル抽出します。
温まってくると、ミルクの中の脂肪分、たんぱく質が荒い粒のようになってきます。それがまだ、真っ白なうちに抽出した「透明なオイル」と、更に火に掛けて、それが薄い茶色に変色し、香ばしさを引き出した「薄い茶色のオイル」と、二種類の「ココナッツ・オイル」を作っています。
透明なオイルは、香りが薄いので、身体に塗る用です。クレンジングオイルや保湿剤として使うことができます。髪に塗ると、天然のトリートメントになりますし、シャンプーの前に、頭皮にしっかり染み込ませ、20分ほど置いた後、シャンプーをすると、頭皮の汚れがとれてすっきりします。
また、薄い茶色のオイルは、食用に使います。ココナッツの香りがたっぷりと残っていますので、それが料理に移っておいしいを増します。また、デザートにバナナなどを食べるときに、ひとくち大に切って、このオイルをたっぷりとかけて食べると、お菓子のような味を体験できます。
無添加、完全手作りの、「バージン・ココナッツ・オイル」を楽しんでください。

木工クラフト

付近の島々で採れるマホガニーなどを使って、木工クラフト創りをしています。
カオハガンらしい自由なデザインの、小物入れ、お皿、お椀、コップ、お箸、額縁、カレンダー、アクセサリー、はんこ、などを創っています。
ぜひ、使ってみてください。

※カオハガン島で創っている上記のものは、カオハガン・ハウスかオンラインショップでご購入いただけます。