「珊瑚の環」の上にできた島

a-2南の海に、火山が隆起してできたひとつの島がありました。その島の周囲を取り巻くように、水面より少し下のところに珊瑚が育っていました。

長い地質学的な時間の経過の中で、その火山島はゆっくりと海中に沈んでいきます。太陽の光がないと生きていけない珊瑚は、島が沈みはじめると、光を求めて少しずつ真上に向かって成長します。そして、島が完全に海中に姿を消してしまったあとも、元の位置に、輪のようになって残っているのです。それが、珊瑚でできた大きな環、「環礁」なのです。

濃い、群青色の海原に、その浅い珊瑚の環に波があたって白く砕け、白い真珠のネックレースのように連なって見える「環礁」は、自然が地球上に創った最も美しい造形のひとつだと、私は思っています。

明るい、澄み切った浅い珊瑚礁の海には、たくさんの、魚、貝、イソギンチャクなどの海洋生物が群れています。

特に、フィリピン、インドネシア、ソロモン郡島を結んだ三角形に囲まれた熱帯の珊瑚礁は、世界で最も生物の種類の多いところなのです。多様な生物たちが助け合いながら暮らしています。

そして、「環礁」の環の一部に、砕けた珊瑚のかけらなどが打ち寄せられてたまり、海面に露出します。その部分が島になるのです。流れ着いたココ椰子などが芽を吹いて、生長し、そこに人々の暮らしがはじまります。

カオハガン島は、北緯十一度。フィリピン共和国のセブ島とボホール島の間に位置する、周囲が百キロ以上もある「オランゴ環礁」の輪の上に、このようにしてできた七つの島のひとつなのです。

面積は約五万平方メートル、ほぼ東西に、長さが三百メートルくらいの小さな細長い島です。2016年現在、約600人の島民が暮らしています。

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